引っ込み思案な恋心。-2nd

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『プログラム3番、徒競争』






そろそろ拓達の最初の出番。





それを知らせるアナウンスが聞こえて、徒競走の選手達が一斉に軽快な音楽と共に入場してきたけど、私の隣にいる映美佳は難しそうな顔をしながら腕を組んでいた。







「…それで、柚が決めた答えが『瀬川を優勝させること』…?」



「拓には何も考えずに思いっ切り走ってもらいたいから…」



「まあ、柚らしい答えかな。でも……、ホントに瀬川に言わなくていいの?」



「うん。変に心配かけたままリレーに臨んでほしくないから…」






話していると、あっという間に1年生が走り終えて、次は2年生が走る番。





拓は前から4番目の列で、膝を曲げ伸ばししながら並んでいた。





その後ろに、倉本くんが並んでいる姿も見えた。






「あ、もう2年生走るんだ。柚…、瀬川の応援は小さい声でね。ココは2組の応援テントだから」



「分かってるよ」






考えモードだった映美佳も、トラックの様子を真剣に見つめ始めた。






なんか…、拓が走るはずなのに、私まで緊張してきた。










パンッ!






ついに拓が走り始めた。






拓の本気の走りを見るのは、かなり久しぶりだと思う。





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