引っ込み思案な恋心。-2nd
「あかねちゃん、やめてよー」
「あはは!でもやっぱ彼氏持ちはうらやましーなー」
「よし、帰る準備完了!あかねちゃん、帰ろう。これ以上ラブラブなトコ邪魔するのも悪いし」
「ちょっと、映美佳までー」
「はは!柚、顔赤いよぉ〜。映美佳、帰ろ。それじゃー、邪魔者は退散しまーす♪」
「あかねちゃん!からかわないでよぉ」
「お前らあんま柚いじめんなよ。邪魔者はさっさと消えろー」
「じゃーねー、柚と瀬川」
「柚、先帰っとくね。瀬川いるから大丈夫だとは思うけど、気を付けて帰ってね」
「うん、二人ともバイバイ…」
あかねちゃんに顔が赤くなってるのを指摘されてますます恥ずかしくなってしまったけど、最後に映美佳に優しく声をかけられて、そんな気持ちが少しだけ小さくなった。
…映美佳のおかげでちょっとだけ落ち着いた…かも。
あかねちゃんと映美佳もいなくなってしまったこの部屋に、私と拓の二人きりになった。
そして今まで7人であーだこーだ言っていたのがウソみたいに、この部屋に声が響かなくなった。
いつもなら、拓が私に笑顔で何か面白いことを話してくれるのに……
代わりに部屋に響くのは、グラスを片付ける音だけ。
「………」
どうして急に拓は黙っちゃったんだろう?
私も聞くのが怖くて、何も言えずにいた。
「……だいたい片付いたな。アイツら勉強会に来たのかお菓子食いに来たのか分かんねぇな。こんなに食い散らかしやがって」
しばらくして、拓がやっと声を上げた。
口調もいつも通りだし、片付けに集中してただけだったのかな…?
でも二人きりなのに拓がこんなにしゃべらないことなんてなかった気がしたから…。
…って、単なる私の気のせいかもしれないけど。