『霊魔伝』其の壱 木の章
「ああ、知っているよ。良くこの神社に来ているだろう。たしか、昨日もご神木の裏の祠にもぐっていたな。気を付けないと駄目だよ、底なしの祠だからね。私は真名瀬敏史。剛ちゃんとは学生時代の飲み仲間。」
「すみません。気を付けます。」
零次朗はぺこりと頭を下げた。
「いいんだよ。この神社の神様は、君を好いているようだから、守ってくれる。それより、ここに来た目的は。」
笑っていた真名瀬がまじめな顔になって、国安に尋ねた。
「例の奉納されている物を借りに来たんだ。込み入った事情があってな。この神社の宝なのは知っている。大事に扱うから、しばらく貸してくれないか。」
「何を言う。あれを貸せるわけがないだろう。この神社のご神体なんだ。」
真名瀬の言うことはもっともだ。ご神体を貸し出す神社なんてあり得ない。と、零次朗は思った。が次の瞬間信じられない言葉を聞いた。
「だけど、剛ちゃんの頼みなら断れないな。貸すよ。その代わり、大事に扱ってくれよ。代々伝わる国宝級の代物なんだからな。」
「ありがとう、真名瀬。ねぇ、零次朗君、話の分かる奴でしょう。今では親の跡を継いで宮司なんかやっていますが、量子力学で博士号を持っているんですよ。
私の研究の助言もして貰っています。」
国安は真名瀬の返事を予想していたようだ。真名瀬は照れて頭をかいた。
「剛ちゃん、止してくれよ。俺は学会から弾き出されたんだから。それより、持ってくるから待っていてくれ。」
真名瀬は本殿の方へ消えた。しばらくすると柏手を打つ音が聞こえて、真名瀬が古ぼけた布に包まれたものを持ってきた。
「さ、確認してくれ。」
真名瀬は布を開いて、中からひと振りの刀を取り出した。刀と言っても、刀身は錆のせいか黒ずんでいる。鞘は無いようだった。それ程大きくはないが、重厚さを感じる。国安は刀を受け取り、それを零次朗の前に差し出した。
零次朗はその重厚さと同時に威圧感を感じた。
「すみません。気を付けます。」
零次朗はぺこりと頭を下げた。
「いいんだよ。この神社の神様は、君を好いているようだから、守ってくれる。それより、ここに来た目的は。」
笑っていた真名瀬がまじめな顔になって、国安に尋ねた。
「例の奉納されている物を借りに来たんだ。込み入った事情があってな。この神社の宝なのは知っている。大事に扱うから、しばらく貸してくれないか。」
「何を言う。あれを貸せるわけがないだろう。この神社のご神体なんだ。」
真名瀬の言うことはもっともだ。ご神体を貸し出す神社なんてあり得ない。と、零次朗は思った。が次の瞬間信じられない言葉を聞いた。
「だけど、剛ちゃんの頼みなら断れないな。貸すよ。その代わり、大事に扱ってくれよ。代々伝わる国宝級の代物なんだからな。」
「ありがとう、真名瀬。ねぇ、零次朗君、話の分かる奴でしょう。今では親の跡を継いで宮司なんかやっていますが、量子力学で博士号を持っているんですよ。
私の研究の助言もして貰っています。」
国安は真名瀬の返事を予想していたようだ。真名瀬は照れて頭をかいた。
「剛ちゃん、止してくれよ。俺は学会から弾き出されたんだから。それより、持ってくるから待っていてくれ。」
真名瀬は本殿の方へ消えた。しばらくすると柏手を打つ音が聞こえて、真名瀬が古ぼけた布に包まれたものを持ってきた。
「さ、確認してくれ。」
真名瀬は布を開いて、中からひと振りの刀を取り出した。刀と言っても、刀身は錆のせいか黒ずんでいる。鞘は無いようだった。それ程大きくはないが、重厚さを感じる。国安は刀を受け取り、それを零次朗の前に差し出した。
零次朗はその重厚さと同時に威圧感を感じた。