『霊魔伝』其の壱 木の章
「封印石か。ちょっと待ってください。」
国安は振り返ると、真名瀬に聞いた。
「この神社に封印石というのはあったかな。」
「封印石。いや、思い当たらないな。で、その封印石がどうしたんだ。必要なのか。」
「ちょっと、気になることがあるのだが。零次朗君、それはどんなものなのか、わかりますか。」
「小太郎が言うには、この刀のそばにずっとあったもので、五角形の平たい形をしているそうです。文字が刻まれていて、一面は磨かれた鏡のように平らだそうです。」
「鏡のように磨かれた石か。」
「ちょっと待った。石では無く、五角形の鏡ならあったよ。刀と一緒に伝わっているモノだ。」
「案内してくれ。」
真名瀬の言葉に、国安が反応した。真名瀬は神社の裏に案内した。そこには小さな朽ち果てた社があった。
「実は、刀もその鏡もこの社の下に埋められていたんだ。
 鏡は刀の上に置かれていた。」
「それで、その鏡は何処に。」
 国安が聞いた。真名瀬は間をおいて答えた。
「無い。捨てた。」
「捨てたって、どういうことだ。」
「腐食がひどくて、掘り出したときにはボロボロだった。一応薬品で洗浄したが、使った薬品のせいか、表面が溶けてしまったので捨てた。」
真名瀬の言ったことで珍しく国安が声を荒げた。
「なんて事だよ。捨てただと。おまえ科学者だろう。ならば捨てることはないだろう。」
「いや、元科学者だ。」
「ちょっと待ってください。その鏡は儀礼上入れたモノで、封印石ではないようです。本当の封印石は別にあるようです。」
「そうか。では、本物の封印石は何処にあるのだろう。」
零次朗の言葉で落ち着きを取り戻した国安はそう言うと、真名瀬に謝った。
「すまなかった。それで、他に心当たりはないのか。」
「そうだな。五角形の石か。もしかすると、あれかな。こっちへ来てくれ。」
真名瀬は神社の表に戻った。鳥居の所まで来ると立ち止まり、鳥居を指さした。
「ほら、あれ五角形でしょう。」
見ると鳥居の真ん中に、五角形のモノがついている。
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