『霊魔伝』其の壱 木の章
「どうしたことだ。こんなことは初めてだ。磨いても綺麗にならなかったのに。」
「そうか、零次朗君の波動と不動龍王刀の波動が共振をして、活性化されて本来の輝きを取り戻しつつあるんだ。これは凄い。」
真名瀬も国安も興奮気味に零次朗と刀を見つめている。
《零次朗、もし封印を解くのなら、封印石の呪文を唱え、刀身を封印石の鏡面にかざすのだ。》
小太郎がそういうと、零次朗は頷いた。
「小太郎、封印石にはなんと刻まれている。」
小太郎は封印石の高さまで浮かび上がった。
《神代文字だが、訳すとこうだ。
 『ここに封じられたる力を解き放つ者よ、選ばれたる者となりし。
 我は善悪を問わず。ここに大いなる炎の柱立てり。封印し者マハー』
零次朗、封印を解く呪文は書かれてないぞ。》
「先生、離れていてください。封印を解いてみます。」
零次朗は鳥居の下に立ち、封印石に向かって不動龍王刀をつきだした。すると封印石の鏡面に神代文字が浮かび上がった。

小太郎がそれを読み上げた。
『封印を解く者よ。名を名乗れ。』
「我は零次朗。」
鏡面の文字が変わった。
『汝に封印を解く資格が有るや否や。炎の試練を受けるべし。』
《零次朗気を付けろ。》
小太郎が叫ぶ間もなく、一瞬にして零次朗の身体は炎に包まれた。国安と真名瀬は、呆然と見ているしかなかった。二人にはその炎の熱が伝わってきて、自分たちも焼けるのではないかと思った。
《零次朗。》
小太郎が叫んだ。
零次朗の身体を包む炎は、鳥居の高さを超えるほどまでになった。
「小太郎、心配するな。不思議なことに全然熱さを感じない。」
零次朗の声で国安と真名瀬も我に返ると、零次朗の身体が炎の中でも燃えていないのに気がついた。炎は次第に小さくなり、ついには消えた。
「零次朗君、大丈夫か。どうしたんだ、今のは幻覚だったのか。」
「大丈夫です。」
零次朗がそう答えると、小太郎が鏡面に新たに出た文字を訳した。
『試練に耐えた者よ。汝は受け入れられた。
 今こそ封印を解こう。封印を断ち切るがよい。
 ビヤサルバ・タタラタ・センダン・マカロシャナ』

「ビヤサルバ・タタラタ・センダン・マカロシャナ。」
< 25 / 49 >

この作品をシェア

pagetop