『霊魔伝』其の壱 木の章
「ところで、例の刀はどうなったんだでしょう。夕べ封印石に飲み込まれて、それきりどこかへ行ってしまった。真名瀬、おまえ何か知っているのか。」
「いや、封印石に吸い込まれるように消えたら、ものすごい閃光に包まれて、目が眩んだ。目が見えるようになると、零次朗君が倒れていた。」
「同じだな。零次朗君は、何か覚えていますか。」
二人はあまり覚えていないようだった。零次朗は右胸の痣のことを言わなかった。言っても信じられないだろうと思われたから。取りあえず、学校に行って確認すべき事があった。屋上にいた田嶋理恵子と言う霊魔と、担任の塩原淳子のことだ。永田百合の顔も浮かんだが、すぐに消えた。

「いえ、何も覚えていません。俺も光で目が眩んでしまって。」
「そうか。取りあえず、今日はこれで解散だな。俺もこれから、仕事だ。土地の御祓いに行かなきゃならん。」
真名瀬がそういうと、国安が笑った。
「幽霊も信じていない奴が、御祓いをするとはな。」
零次朗は、家に戻った。戻ると、誰もいなかった。取りあえずシャワーを浴び、部屋に戻り制服に着がえた。鞄を持って部屋を出ようとしたとき、机の上に書き置きがあるのに気がついた。

《お兄ちゃんへ
 朝早く例の変なオジサンがきました。お兄ちゃんが具合が悪くなって、泊まったこと。そして学校に行くのが遅くなるとも言っていました。一応学校には風邪気味だと連絡をしておきます。でも、あまり近づかないほうがいいと思うわよ。
 それと、永田百合という人から、電話がありました。夕べ自分の携帯を忘れていったでしょう。何度も鳴るので、でたら女の人でした。
 お兄ちゃん、もうガールフレンド作ったの?  彩花

追伸
 例の件インターネットで調べたわよ。変な事件ね。
プリントしておきました。映画のこと、忘れないでね。》

「ガールフレンド?とんでもない。変な女の子だよ。」
書き置きの下にあったプリントを鞄にしまい、家を出て学校へ向かった。学校へ着くと、ちょうど休み時間で、生徒たちはグランドにでていた。教室にはいると、永田百合がいた。
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