鬼畜王子のメイド様。
「残念ながら好きではないです」
「…そう」
桜子さんは、優しく微笑んだ。
ほんと、綺麗な人。憎めないや。
「私の母はね、私が小さい頃に病気で死んじゃったの。元々、父はいなかったから私を育ててくれたのは親戚のおば様。おば様はね、私のことが大嫌いなんだ」
桜子さんはゆっくり家庭の事情や雨宮とのことも話してくれた。
おば様は桜子さんが嫌い。
というか小さい子供を嫌っていたらしい。
いつも家の裏で泣いていた桜子さんを優しく包み込んでくれたのが隣に住んでいた雨宮。
友達がいなかった桜子さんの唯一の頼れる存在だったんだって。