永遠の約束-聖母の涙-
「―――えっ!?」
印を組むのも終盤。
もう少しで印が組み終わるという時になって、なぜか今まで堅固に深青の足を止めていた戒めは突如、消える。
「・・・・・。
まさか、印を組み終わる前に術がかかったなんて……、そんなことあるわけないわよね………」
印を組んでいる自分に油断を与えるためかもしれないと、途中まで組んだ印をそのままの状態で、深青は一応辺りに目を配る。
だけど―――…
恐らく、十分は経ったと思われる。
それほど時間が経ったところでも、全く敵の攻撃が行われる素振りは皆無だった。
それどころか、姿を消してしまったのか、その存在さえも感じることができなくなってしまった。
逃げる時間を稼ぐためだけだったのか………。
敵の思惑は、依然としてわからないままだったが、それでも、一応、自分が難を逃れることができたことにホッと息を吐いた。
「それにしても、今の攻撃で見えてきたものもあるわ…」
今まで見え隠れていた問題。
それは敵がどういう存在かも知ることができなかった。
だけど、今の攻撃で敵は西洋魔術を使うものだと断定できた。
そして―――…
