永遠の約束-聖母の涙-





 突然、爆弾を落とされたように言われた深青はギョッとしながら真理亜を見る。


 授業をさぼってまでわざわざ会いに来るほどの関係なのだから、深い関係なのだろうとは思ってはいたが―――…。


 聞く前に言われた事実に、深青はただ驚くばかりだった。


「あ…、でも、真理亜さん。

確か、さっき糸川シスターって…」





 真理亜の苗字は阿部。


 どう考えても苗字が違う。


 となると、容易に想像ができるのは、複雑な家庭環境。


 そこまで踏み入って聞いていいのか、深青も戸惑う。


 だけど、真理亜はあっさりと真実を述べた。


「実は姉とは言っても、血の繋がりのない義理の姉なんです。

姉のお母様は、姉がまだ小さい時に亡くなられて、私の母は後妻として父と再婚したんです。

そして、私は母の連れ子として」





 つまり、真理亜さんは阿部の姓を名乗っているけど、阿部家の血は流れていないと?


 あれ?


 でも、再婚だよね?


 シスターがお母さんに連れられてとか、離婚してというのならわかるけど、それなのに苗字は別?


「うふふ…。

深青さん、眉間に皺が寄ってますよ」


「えっ!」





 慌てて深青は自分の眉間を押さえた。





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