永遠の約束-聖母の涙-


「ところで、お姉さま。

私に来て欲しいとは?」


「そうそう。これよ、これ」





 友恵は少し体を右後ろ斜めに向けると、そこにあるテーブルを指差した。


 そこには、大きな箱が置かれていた。


「これ――…、ですか?」





 首を傾げながら、真理亜は友恵の乗っている車椅子の向きを変え、動かし一緒にテーブルの傍へと移動する。


 深青はその姿を動かずにジッと見ていた。


「そうよ。開けてみて」





 真理亜は友恵に言われるままに、包装されているリボンを解き、真っ白な綺麗な箱を開けた。


「まぁ~…。これって……」





 箱を手にしたまま、真理亜は友恵へと振り返る。


 箱の中は、深青の位置からも充分に見えた。


 中に入っていたのは、真っ赤な深紅のドレス。


 見た限りではちょっとおめかしという感じではない、がっつりとしたパーティドレス。


 もちろん、そんなドレスは深青は着たこともなければ、テレビで見るぐらいだ。


「河田(かわた)から聞いたの。

再来週に、あなたのお披露目を兼ねた誕生日パーティが開かれるそうね」





 微笑みながら言う友恵とは違い、真理亜の表情は優れなかった。


 そんな真理亜の表情に気がついたのか、友恵は真理亜の手を握るとにっこりと微笑む。





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