永遠の約束-聖母の涙-


「とにかく、消毒をしなくちゃ。

え~っと…」





 友恵はまたも見事な手さばきで車椅子を操作すると、今度は白い戸棚へと向かう。


「真理亜。

悪いけど、その上から二段目にあるテープを取ってくれる?」


「え? あ、はい」





 言われたとおりに戸棚を開き、そこからテープを取り出す真理亜。


 その間に、友恵は下側にある引き出しを開けると、そこからガーゼを取り出した。





 ま、まさか、それを顔に貼るなんてこと、ないわよね…?





 一抹の不安が深青を襲い、顔を引きつらせる。


 血をふき取ってしまった今となっては、よく見ないと怪我をしているかどうかもわからないほど。


 それほどの傷なのに、ガーゼなどを顔に貼られたほうが、余計に目立つ。


「さあ、深青さん。手当てをしましょうね」





 まさに、深青が不安に思っていた通り、脱脂綿に消毒液を含ませたものを傷のところに当てた後、友恵はガーゼを深青の顔に当ててくる。





 いや~~~!!!





 心の中で悲鳴を上げていると―――…











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