永遠の約束-聖母の涙-
カチャッ
「何をしているの?」
まさに、友恵の手を防ごうとしていた深青は、その声に声のしたほうへと視線を向けた。
すると、そこには白衣を着た髪の長い女性が呆れた顔で深青たちのことを見ていた。
「シスター?
勝手にされては困りますよ。全く…。
自分が体調が悪いからと私を職員室に行かせたくせに、人の手当をしている場合ですか?」
「えっ!?
お姉さま、具合がお悪いんですか?」
恐らく本当の校医であるであろう女性からの言葉に、真理亜は心配そうに友恵のことを見つめた。
「大げさですよ、村田先生。少し、気分が悪かっただけですから」
「何を言っているんですか。
ここに来られた時は真っ青なお顔をされていたではありませんか。
だから、ベッドで横になってもらっていたというのに………。
いつの間に、自分で起き上がってこられたんですか?」
カツカツとヒールの音を鳴らしながら、部屋に入ってきた村田。
そして、彼女は友恵に有無を言わせずに、車椅子を押してベッドへと連れて行った。
「彼女の手当ては私がしますから、安心して休んでいてください」
「大げさですって…。もう、大丈夫なのに………」
「そんなことを言わないの。
ほら、妹さんもあんなに心配なさっているんですから」
不服そうだった友恵だが、その言葉に真理亜を見て溜息混じりに「わかりました…」と大人しく頷いた。