永遠の約束-聖母の涙-





 友恵をベッドに寝かすと、村田はにこりと微笑むと深青の前までやってきた。


 そして、深青の顔をジッと覗き込む。


「う~ん…。

ちょっと、切れているけど…。

大したことはないわね。

これぐらいなら、傷が残ることもなさそう。

消毒は済んでるみたいだし……」


「はい」





 先ほどまで、大げさなほどの手当てを受けそうになっていた深青は安心から、元気よく返事をした。


「あの、村田先生……」





 そんな二人の様子を見ながら、真理亜は横から遠慮げに話しかけてきた。


「ん? なに?」





 にこやかな笑みを浮かべながら、首を傾げる村田。


 そんな彼女に、真理亜はチラリと友恵のほうへと視線を向けた。


「あの…、お姉さま、どこか体調が悪いんですか?」





 声を潜めて聞く彼女に、村田もチラリと先ほど友恵を寝かせたベッドへと視線を向けた後、真理亜の気持ちを汲み、深く頷いた。


「隣の部屋に行きましょうか」





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