永遠の約束-聖母の涙-
悪霊を退治する力はある。
だけど、病気の人を治す力なんてものは持ち合わせていない。
実際にはできるものもある。
だけど、それは禁忌に関わること。
法律も何もない昔では、それを職業としていたこともある。
だけど、この現代社会では、人の生に手を加えることはしてはいけないこと。
それは、亡くなった父からも何度も言われたことだった。
できるなら、してあげたい。
だけど、能力を持つものとしては、それは絶対に超えてはいけないものだった。
もし、それをしてしまえば、自分の能力を律することができなくなる。
『能力(ちから)を持つ者は、持つ者として、自分に対して厳格でなくてはいけない。それが、力を持つということの責任なんだ』
亡き父の言葉が深青の脳裏を駆け巡る。
「わかってるよ…。お父さん………」
深青は夕暮れに染まる空を見上げ、誰に聞かせるもなく、そう呟いた。
その刹那―――…