永遠の約束-聖母の涙-











 ゾクリ……





 背後から感じる妙な気配に、深青は背後を振り返る。


 だけど、下校時間を当に過ぎた今では、その場には自分以外誰もいない。





 だけど、確かに感じた。


 今度は気のせいでもなんでもなく、感じた気配に深青は昇降口へと駆ける。


 だが、辺りを見渡してもそこには何も感じない。


 ただ残っているのは、そこに居たという残骸のみ。


 それも、漂う空気に紛れる黒い気配。





 深青は目を閉じ、意識を集中させる。





 今まで、見えることがなかった存在。


 だけど、きっと霊が関係しているという根拠のない感覚だけでいた。


 それが、今初めてその存在に触れることになったのだ。


 この機会を逃してはいけない。


 もし、逃してしまえば敵はまたも見えない位置に逃げる。


 できるなら、この機会に捕まえてしまいたい。


 それが無理なら、その存在に触れるだけでもいいから何かしらの手がかりを掴みたかった。





 お願い…!


 まだ、残っていて!





 完全に存在が消えてしまわないことを深青は真摯に願う。





 意識を極限まで研ぎ澄ませ、どんな微かな気配さえも逃さないように、深青は意識を集中させる。





 ―――!!!






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