KISS AND SAY GOOD-BYE





第3営業課に戻ってきたら、河野次長も美華も既に戻ってきていた。



「只今戻りました。」



と、言ってから玄田課長のデスクに行き、



『安川・桧山戻りました。

報告したいことがございますのですが。』



『それじゃあ、奥の部屋に来なさい。』



と言って、課長も直ぐに立ち上がり、奥に在る簡易の小会議室へ向かった。



俺も、課長と係長の後について中に入っていった。



『何か、問題事でも起きたのかね。』



『問題と言うか、ひまわりテレビの方から提案が有りました。

詳しい内容は桧山の方から説明します。

さぁ桧山君、先程のやり取りを詳しく話しなさい。』



「かしこまりました。」



と言って、先程の安西プロデューサーとの一連のやり取りを事細かく報告した。



すると、玄田課長が険しい顔をして、



『やはり、これはきちんと社長に報告してから、返事するにしても、社長の許可が必要だな!

仮に、桧山君の考えた新番組の企画提案書が採用されたとして、その番組フォーマットの権利がひまわりテレビの物になってしまうと、新星MUSICの損失にも繋がるし、その番組フォーマットをうちが所有するにしても、企画提案書はひまわりテレビの安西プロデューサーの考えた物として企画会議の場で発表されるから、矛盾が生じるんだよなぁ。

それが条件での、うちの留学生がメインの新番組だからなぁ。

その上、新星MUSICでバイトをしている桧山君を、現場マネージャーとして収録中はAPとして安西プロデューサーに付くのって……。

いやぁ、簡単に返事してこなくて正解だよ。

取り敢えず、社長の意見を聞かないことにはだな。

困ったなぁ。

どう話そうか……。』



「それでは、私から社長に直接聞いてきます。」



『社長に直接って、君はいつもそんなことをしているのかい!?』



「はい。

働く部署が決まるまでは、いつも社長室に入り浸ってましたし、部署が決まってからも1日の就業が終わったら、社長室に行ってその日1日の、気がついた点を報告するように言われてますので。」



『まさか社長のスパイか!?』



「ハハハ……、それはないです。

私が報告しているのは、仕事をしていく上で改善したら良いんじゃないかなぁって思った事を報告している訳で、課の中の事を不必要にペラペラ喋りませんよ。

スパイを命じられて、分かりましたお引き受けしますって言った時点で、私は社長からクビにされてますよ。

社長は、そういったチクリ魔のような人を最も嫌う人ですし、いちいちチクらなくても社長は結構何でもお見通しみたいですよ。」



『って言うか、桧山君も結構社長の事を分かってるなぁ。

大した高校生だよ。

マジでひまわりテレビには渡したくないな!』



「ハハハ……。

兎に角、今から社長の所に行ってきます。」



『あぁ、そうしてくれ。

それで、方向性が決まったら知らせてくれ。

その時は、桧山君の企画提案書が楽しみになってくるよ。

うまくいけば、女子留学生もバーターで出演出来るかもしれないから、凄い企画提案書を頼むぞ!』



「プレッシャーを掛けないで下さいよぉ~!」



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