KISS AND SAY GOOD-BYE
小会議室を後にして、自分のデスクに座ってから、社長の携帯に電話を入れた。
暇にしてると言うので、直ぐに伺いますとだけ言ってから社長室に向かった。
社長室の前のカウンターに座って、スケジュール調整をしている秘書の方に一礼をしてから、
コンコン!
「失礼します。」
と言って扉を開けた。
『待ってたよ。
もう、お昼は食ったか?』
「そう言えば、まだ何も食べてませんでした。」
『それじゃあ出前を取るから、それを食べながら話をしようか!』
と言うと、NSフーズに仕出し弁当を2つ持って越させるように秘書に内線で頼んでから、デスクから立ち上がりソファーに移動してきた。
「社長も食事未だでしたか!」
『ついさっき迄バタバタと本社との打ち合わせをしていたからな!
やっと暇な時間出来たところへ桧山君が電話をしてきたんだよ。』
「お邪魔してすみません。
どうしても火急のお話が有りましたので……」『構わないさ!
それで、一体どうしたんだね!?』
「実は……。」
と、係長に話して、課長にはなして、これで3回目の報告なので、分かり易くきちんと順を追って大事なポイント部分は強調して、メリットやデメリットや自分の意見も混ぜながら報告した。
『なるほどな!
営業課の皆の懸念している部分も良く分かるよ。
新番組の企画提案書が、そのまま番組フォーマットとなった場合の利益率を考えると、納得いかないよなぁ。
まぁ、私も社員には人間として行動しなければいけないが、利益もきちんと踏まえて、考えて行動しなさいって言ってたもんなぁ。
でも、君はバイトだからなぁ。
正社員じゃないから、結構向こうの言わんとしてる意図が見えてくるんだよなぁ。』
「ですよね。
悪く言えば足元を見られてるんだけれど、良く言えばひまわりテレビをプロデューサーの私を利用しなさいとも言ってるように取れるし、だから返事を渋ってしまったんです。」
『そっかぁ、即座にそう感じて返事を保留にして戻って来た事に対しては、良くやった!と言ってあげるよ。
それにしても、うまくいけば留学生達のデビューも早くなる可能性も見えてくるし、視聴率が稼げれば毎年遣ってくる留学生達にもチャンスが有るんだから、その中の一人でも大ヒットを飛ばしてくれたり大スターに成ってくれたりすれば、番組フォーマットが仮に1,000万円の価値が有っても、別にどうでも良くなるくらい稼いでくれるからな!
どうだ、もし仮に君の考えた新番組の企画提案書が通ったとしたら、全て向こうの条件での契約をすると言ったら、桧山君はAPとしても働けるかね!?
そこが一番重要なポイントだよ。』
そうだった。
この俺の頭の中にある、ある程度固まりかけてる構想は、番組上とても大変な部分が有るんだよなぁ。
番組のAPかぁ~!
考えたらゾォ~!とする企画だもんなぁ。
それでも、もし企画が通るなら遣ってみたい気もする。
「社長遣らせてください。」
『そうかぁ、じゃあOKの返事を安西プロデューサーにして、出来るだけ早く企画提案書を作成しなさい。
その企画提案書が完成したら、一番にここに持ってきなさい。
私が一番に見たいからな!』
「はい、了解しました。」
その後、社長と一緒に仕出し弁当を食べながら、NSフーズの凄さを実感していた。