KISS AND SAY GOOD-BYE
その後、社長に俺のロッカーから持ってきた、新星MUSIC広報部の作成した留学生達の宣材写真が面白味に欠けるので、自分で撮影して作った宣材写真が有るので見てください!と言って、社長にそれら2冊を並べて見せた。
これなら、売り込みにいちいち留学生を連れていかなければ分かってくれない彼等の事が、ある程度相手方にも伝わると思って作成したのだと言うと、
『そんなのは、広報部に言ってこちらの意向を伝えて造り直させれば良かったのに!』
「社長、今新星MUSICの全ての広報活動を、たった23人で行っているんですよ!
その上、細かな事までいちいち広報部に頼んだら、殆どブラック企業並のオーバーワークなので、そのうち過労で倒れる人も出てきますよ。」
『そうなのか!?』
「広報部をそっと覗いて見てください。
各現場現場で広報活動に毎日出ていって、残ったスタッフ数人だけで、広報資料を作成したり、代理店と打ち合わせをしたりと、昼食も摂る暇無しで営業から帰ってきた広報部スタッフの資料をまとめ直したり、そりゃあもう毎日ドタバタしてますから!」
『そうだったのかぁ。
広報部長も、言ってくれれば良いのになぁ。』
「部長は、部下のフォローでそれこそ帰りは毎日夜の11時過ぎだそうですよ。」
『なんと!
そうなのか!
分かった!
この件は、早急に対処するよ。』
「宜しくお願いします。」
『それにしても、上手に作ったもんだなぁ!
広報部で遣ってみるか?
って訳にもいかないかぁ…。』
「ホッ!」
『安堵の吐息か!?』
「いえいえ、やっぱり私はマネージメントの仕事が気に入りましたので、この第3営業課でずっと頑張らさせて下さい。」
『心配しなくても分かっているから。
安心して、しっかり頑張ってきなさい。』
「はい。
それでは、失礼します。」
『アッ、これを営業課の皆に渡してくれるかい、韓国のお土産だ!』
「有り難うございます。
食べ物ですか?」
『あぁ、トックパイだよ。』
餅入りパイかぁ~!チョコレートコーティングのトックパイだと良いなぁ~と、思わずユダレが零れそうになった桧山隆一であった。
そして、社長室を後にした俺はトックパイの入った大きな箱の包みを手に第3営業課へ戻って来た。
玄田課長のデスクに行き、先ずは先程の話し合いの報告をしてから、それとついでにこんなのも頂きました!と言ってトックパイの入った大きな箱を玄田課長のデスクの上に置いた。