KISS AND SAY GOOD-BYE





俺は今、社長室のソファーに座って、企画提案書を読む社長を待っている。



社長は難しい顔つきで、もうかれこれ20分は企画書とにらめっこしている。



そして、ようやく口を開いた。



『この企画内容は、全て君が考えた物なのか桧山君!?』



「はい、色々と調べて、過去にやったことの無い物だと思うのですが、これと同じものを観たことでも有りますか?」



『いや、こんな企画始めてだよ。

良くこんなことを思い付いたね!?』



「インパクトが有って、分かりやすくて、尚且つチャレンジ内容が難しいものって考えていたら、こんな感じになってしまいました。

如何でしょうか?」



『一応、留学生達はダンスとか歌とか芝居なんかは、遣ってきたからどうにか成ると思うんだが、ラーメンを作らすってどうなんだ!?』



「何でも良いから過酷な物に挑戦したいって留学生達が言うもんで。」



『で、どうしてラーメンを作らすんだい。』



「ラーメンは視聴率が稼げるからです。」



『そんなことまで考えてるのか!』



「まぁ、一応。

それで、小麦粉選びからスープ作り、麺作り、具材に至るまで、全て1から遣っていきます。

5人ずつ2組で競いあって、12回目の放送日に完成したラーメンを100人の審査員に試食してもらい、美味しいと思った方に点数を入れて貰うのです。

勝ったチームには、最終日の放送枠を、1時間まるまる使ってショーが行えるのですが、そのショーで歌ったり踊ったりと言うのも、この3ヶ月の間に作詞作曲した物を披露するのですから、ラーメン作りと平行してダンスの練習風景や作詞作曲しているところも、ところどころオンエアに乗せていくと、どんなフォーメーションで躍りながら、どんな歌を歌うんだろうと、興味も持ってくれるわけです。」



『それじゃあ、負けた方は!?』



「実は、日本では案外勝ったチームよりも、負けた方にスポットライトを充てると、これまた視聴率が稼げるんですよ。」



『ほう、なるほど!

それで?』



「そこで、敗者には、ネットでショー用に作ってきたダンスや歌を時間限定と言って流せば、見てくれるでしょう。

そしたら…」『そしたら!?』



「そしたら、それらを駒にして第3営業課が、彼等を音楽番組や色んなバラエティー番組に、売り込んでいきます。」



『なるほど!

しかし、いくらラーメンが視聴率を稼げると言っても、毎週毎週ラーメンばっかりじゃあ飽きられる様な気がしなくもないが…。』



「はい、当然それは予測されると思います。

そこで、こちらの資料をご覧ください。」



『タイムテーブルぽいが!?』



「番組の時間割りを考えて見ました。」



『何だい、このショートコントとか韓国情報って!』



「要するに、ラーメン作りに12分、歌の作詞作曲や歌唱レッスンやダンスのレッスンに12分、それとは別に毎週日本語でのショートコントって言うか、彼等の役者としての実力を見てもらうための芝居に12分、そして少しずつ韓流ブームが盛り上がって来てますので、彼等が都内でも韓国を感じられる場所を取材していき、それを番組で紹介するのに10分、合計で46分。

各コーナーとコーナーの
間にCMを挟んで54分を目処に考えています。」



『そこでのCMも、勿論スポンサーとして新星MUSICの各店舗を紹介していくってのも有りだな!

クラブ ソウルナイトやカラオケの新星GTS、新星アクターズスクールやNSフーズなんかも出していくぞ。』



そんなに広告料に、お金を掛けられるんだったら、留学生達の番組を枠ごと押さえられるだろう!



まぁ、そんなことをしたら、営業課の力が付かなくなるか!



それに、視聴率との戦いでも有るから、金積んで番組作れば留学生達は緊張感を無くしてしまうしな。



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