KISS AND SAY GOOD-BYE
会議室のドアをノックすると、中から扉が開けられAD山本さんが顔を覗かせた。
『桧山君、久しぶり。
さぁ、中に入って!』
「おじゃまします。」
『皆、覚えてるわよね!?
探せメロス全国制覇って番組でAAD(アルバイトのAD)遣っててくれた桧山君ね!
去年と今年に入社した子は初めましてだよね!?
彼は、まだ高校生だよ。
でも、新星MUSICの営業3課で頑張ってるんだよ。
桧山君、この子達は新たに私の下に入った可愛そうな子達よ。
入社2年目の植田君と中西さん、こっちが今年W大学を卒業して入ってきた香西さんと、この子は今年、武蔵野芸大を卒業して私の下についた村田君よ。
後は、分かるわよね。』
「はい、新星MUSIC営業3課の桧山隆一と申します。
宜しくお願い致します。」
『久しぶりだな!
そうだ桧山君、去年の極真空手の土用稽古に参加しなかったな!
城西支部長が寂しがってたぞ!』
「押忍、池内D!
車の免許を取りに行ってました。」
『そっかそっか!
さっき安西プロデューサーから電話で聞いたと思うが、4月4日から毎週土曜日の夜23時から1時間枠の空きが出るんだ。
それを安西プロデューサーとディレクターの俺で埋めなきゃいけないんだが、なかなか良い企画が出なくてよ!
まだ会議が終わらないんだ。
悪いな、もう少しだけ待っててくれよな!』
『と言うことなのよ桧山君。
なんか無いかしら!?』
「安西プロデューサー、それこそ私の企画提案書を使ってくださいよ。
せっかく一生懸命考えてきた企画が有るんですから。」
『あら、貴方の企画よ!
こんな深夜枠のバラエティー枠の時間で良いの!?』
「構いません。
って言うか寧ろ、それくらいの時間帯の方が早い時間帯やゴールデンタイムなんかよりも遣れることがイッパイ有りますから。
どうでしょうか!?
今、私共の企画提案書を検討して頂けますか!?」
『それじゃあ見せて貰おうかしら!
コピー取らなきゃね。』
「一応、企画提案書を10部コピーして持って参りました。」
『本当に君は仕事出来るわねぇ~♪
どうせ大学行くんでしょ!?
大学卒業したら、うちにいらっしゃいよ。
願書出したら、その時点で採用にしてあげるから!』
「ムチャクチャ嬉しいお言葉ですが、新星MUSICの高山社長の方に、大学卒業したら、必ず新星MUSICの採用試験に合格して入社しますって、大見栄切ってますので!」
『頼もしいこと。
高山社長が羨ましいわ。
去年入った子も、今年入ってきた2人も、遣る気だけは人一倍有るんだけどなぁ…。』
「その先は、本人も目の前に居ますのでやめておきましょうよ。
それでは、私共の企画提案書です。
検討宜しくお願い致します。」
と言って、何日も根詰めて書き上げてきた企画提案書を、全員の前に並べていった。