君の笑顔をもう一度
第伍章

記憶の欠片





 ――『ここに埋めてくれ・・・・』

 二人の少年が木下に木箱を埋めた。

 ――『・・・本当にこんなとこでいいのか?
   これじゃあ見つけられないでわないか・
   ・・・・』
  
 少年にもう一人の少年が問いかける。

 ――『ここじゃないといけないんだ・・・・
   すまない“凛佳”』

 
 少年は悲しそうな顔をする。


 ――『どうしてもあれには“未汐”を巻き込
   みたくない』

 


 
 誰・・・・?

 未汐って私の前世のこと?

 誰かが私の頭の中で会話をしてる。

 でも、顔が良く見えないの・・・・・。

 とても懐かしい感じなのに・・・・どうして?

 もっと近づきたい・・・・もっと貴方の声を
 聞かせて。

 そう思うのに段々とぼやけて来て手が届か
 ない。

 

 ――待って!!・・・・・まっ・・・・――


 
 そう手を伸ばした瞬間、目が覚めた。

 
 「ハァ・・・・ハァ」

 荒い息を上げる。

 カーテンの隙間から差し込む光に目を細めた。

 ・・・・?

 あたし何の夢を見ていたんだっけ?

 忘れちゃいけないのに・・・・いけないはず
 なのにどうしても思い出せない。
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