となりの女の子
次の日の放課後…

掃除当番で教室に居た寛太に

「おい、来てるぞ。」

と、颯太が言いに来た。


「ん。終わったら行く。」

「…なに?」

「あぁ、親が来たって。」

「え、じゃあ、もうイーから行きなよ。」

「あとはやっとくから。」

「え?いーよ。」

「…」

律儀に掃除を終らせる寛太を、ついつい、不気味そうに見つめてしまう皆。

「…なんだよ?」

「え、いや…」


せめてゴミ捨て係だけは寛太抜きで決めることになり、

「ジャンケンポン!」

「あ〜!」

「イェーイ!じゃ、高見よろしく〜!」

「はーい…」

その時も

「行きは俺が持つから、空箱持って返って。」

気を使われてることに気を使う寛太。

なおさら不気味と思われ、

「だからなんだっつーの?!」

「ううん。なんでもない。」

「なら、頼んじゃえば。」

「うん…なら、お願いします。」


首を傾げながら自分の荷物とゴミ捨箱を持って教室を出る寛太。

その後ろを付いて歩く優菜は恐る恐る尋ねてみた。


「…なんか話し合いがあるの?」

「あぁ。颯太から聞いてない?」

「え、あ、うん…」

「そのうち分かるよ。」

「…だよね。あはは…」


ゴミ収集場所でゴミ箱を空にして、

「あ、私が」

「いーよ。職員室んトコまで持つよ。」

「あ…ありがと…」


女の子扱いしてもらえた気がして胸がキュンとする優菜だった。


職員室は2階。

階段を折り返した所で

「あー、いたいた。」

母親らしき人の笑顔が目に入った。

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