となりの女の子
「わりー。当番だったから。」

「颯太から聞いてる。」

そんな怜子を見て優菜は思った。

(あれ?笑ってる。…悪い話じゃないってこと?)

「んじゃ、こっからヨロシク。」

「あ、うん。」

ゴミ箱を渡されると、

「なによぉ、持ってってあげなさいよ。」

「大丈夫です。本当は私の係なので。」

「そう?」

不意に会話ができた。

「そーゆーことだよ。」

「はい!」

「…」

じっと見られて…

「?」

「あ、ほら、ノートの」

「あ〜、となりの席の〜!聞いてます。いつも寛太がお世話になって、ありがとうございますぅ。」

「え、あ、いえいえ(え〜)!」

紹介されて…

「これからも宜しくお願いしますね〜。」

頼まれた。

「なに言ってんだよ!ほら行くぞ!じゃな。」

「あ、うん。失礼します。」

「どーもー。」


照れるようにして母親を連れ去る寛太の

“颯太の女だっつーの!”

という胸中とは逆に、

優菜は、飛び跳ねるようにして階段を駆け上がれるほどの喜びだった。
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