となりの女の子
弾むようにして教室に戻ると、

「よっ。」

颯太が居た。

「どうしたの?」

「なんか聞いた?」

「あ…聞いてないけど(悪いことじゃなさそうだから)別に」

「もう帰れるの?」

「え?」

「ちょっと話せる?報告があるんだけど。」

「あ…荷物取ってくる!」

「ん。」


あまりにも自然な颯太の誘いと、事情が聞けるとあって浮き足立っていた優菜は…

(あれ?)

しばらくして、やっと、自分が今、颯太と一緒に帰ってるということに気が付くのだった。


「あ、あの…で、話って?」

「あ〜、人がいない方が良いんだけど。」

「そっか。なら、この前の公園は?」

「あはは、あそこは鬼門じゃないの?」

「だって、他にある?」

「高見の家の方向でもイーけど。」

「だめだめ!うちのマンション、おな中が多いから!」

「じゃダメだな。やっぱこっち行こ。」


一歩先を歩く颯太に、周りを気にしながら付いて行く優菜だったが…

二人が付き合っていると思っている周りの生徒も気を使い、見て見ぬ振りをしてくれていた。


まさに今、二人が向かっている公園というのが、
優菜と颯太の関係を勘違いされることになった原因の場所である。


気まずそうな優菜を知ってか、

「誰か居ないか見てくるよ。」

と、颯爽と歩いて行く颯太は、ひと足先に着いた公園の入口の柵に腰掛け優菜を待った。

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