となりの女の子
野球部を引退後、久しぶりに髪を伸ばしている寛太を、遠目から颯太と間違える者がいた。

が・・・

公園で独り、優菜を待っている颯太を見て

「あぁ…アレが弟の方だったらなぁ…」

なんて思われていることを知っているのかどうか…颯太はタイミングを計って公園内へ入った。

そしてベンチに荷物を置くと、ぷらぷらと軽く腕を振って筋肉をほぐす。


「ごめ〜ん。そんなに待った?」

「今日の時間割って全教科だから重くてさ。」

「わぉ。ちゃんと持ち帰ってるんだ。」

「受験生なもんで。」

「イヤミ…」

「抜き打ちチェックがあるかもしんねーじゃん。内申書に響いたら困るし。」

「その頭を持ってしてその心配?どんだけ良いトコ狙ってんの?」

「あいつみたく、学校側から“来てくれ”とでも言われりゃあ安心だけどさ」

「?…あいつって?」

「寛太、野球で推薦入学できるかもってさ。」

「え?うそ!…スゴい〜!ホントなのソレ?」

「ウソついてどーすんだよ。」

「あ!それで今日お母さんが学校に?」

「そっ!色々と説明や質問を聞いておかないと」

「良かった〜。夢が叶うんだ〜」

「夢って、大袈裟だな…」

「だってだって、ずっと言ってたじゃん!はぁ…まずは第一歩クリアだね!」

「…自分の事のように喜ぶのな、おまえ。」

「えへへ。」

「…どこの高校だと思う?」

「あ、そうだよ!どこどこ?」

目をキラキラさせ、颯太の話に食い入るようにして聞いてくる優菜だったが、その顔は一瞬にして固まった。


「どーゆーことかわかるよな?」

「…」

「寮生活だよ、あいつ」

< 46 / 48 >

この作品をシェア

pagetop