一番近くの君へ。



「一ノ瀬さん?」



体育館まで走って行ったのに、もう朝練は終わっていて、西藤せんぱいは制服に着替えていた。



「に…西藤せんぱい、これ…」



あたしはグッとバナナ豆乳を差し出す。



「これを僕に持ってきてくれたの?」



あたしの顔をのぞきこんでくる西藤せんぱい。



あたしが頷いたら、この前みたいにくしゃくしゃっと頭を撫でてにこっと笑った。



…爽やかすぎるよ、西藤せんぱい。



「ありがとう。一ノ瀬さんは飲み物ないの?」



「え、ああ…ちょっとトラブルがありまして。」





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