青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「おりゃあリーダーだぞ? 長期不在はやばいだろ?
今回の喧嘩の中心指導者は俺じゃないといけねぇのに、荒川にバッカ押し付けても申し訳ねぇしな。イケメンに美味しいとこばっかヤレねぇっつーの」
「だ、だけど頭を縫ってッ…」
「言われるほど大した怪我でもないんだって蓮。負傷した仲間達は各自家に帰したが、おりゃあヘーキもヘーキ。これでも頑丈だからな。
ま、立ち眩みはするからソファーに座らせてもらうけど。
うーっし状況から説明してもらおうか。今、どうなってるべ?」
軽いノリで心配をあしらう浅倉さんは、近場のソファーにどっかりと座り込んだ。
扉が開け放たれた向こうからは心配の眼が多々飛んできたけど、
「でぇーじょうぶだっつーの」
シッシと浅倉さんはその心配を手であしらう。
後でちゃんと報告するから今は荒川と話させろ、なーんて言って扉を閉めさせた。
物静かに閉められた木製の扉に視線を投げて、どいつもこいつも大袈裟だと肩を竦める浅倉さんは早速状況を尋ねてくる。
ヨウには騒動と不在だったことを詫びて。
リーダーとしての責任をしっかり背負っている浅倉さんに、なんとも言えない顔を作っていたヨウだけど軽く説明を始めた。
心配の念を向けるよりも、状況を説明してやった方が彼のためだと思ったらしい。
同じリーダーとして気持ちが分かったんだろうな。
事情を聞いた浅倉さんは一つ小さな吐息をつくと、「頭いてぇなソレ」置かされている状況を嘆いた。
自分が数時間不在の間にそこまで濃厚な出来事があっていたなんて、呻いてこめかみを擦る。
「つまり」
チームに盗聴役が存在していて、向こうに情報が漏えいしていると? そのことで悩んでいると?
確認の意を込めて尋ねてくる浅倉さんにヨウは返事をした。自分達の起こした行動をしっかりと説明して。
なるほどな、微苦笑を漏らす浅倉さんだけど然程ショックは受けていないらしい。
意外だった。
仲間を第一に想う浅倉さんのことだからてっきりショックを受けると思っていたんだけど。
浅倉さんは失敗に終わっている俺達の作戦と、状況下を反芻し、少しばかり口を閉じて思案。
意味深に宙を見つめて、腕を組んでいた。
程なくして、彼は意見する。
「盗聴役は問題視しねぇ」と。