青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
楠本は錆びかけの手摺に寄りかかり、持ち前のウルフカットを曇天の風に靡かせ、シニカルな笑みを浮かべて自分を見下げている。
「何してるんだ?」
大変そうだな、どこまでも見下してくる楠本の発言に舌打ち。
まさか非常階段からご登場とは、何処までも読めない奴だ。
何処から上ったのだろうか?
仲間達が軽く動揺している中、率先して前に出る蓮は降りて来いと相手に物申す。
「嫌なこったい」
口角をつり上げる楠本は指笛を鳴らした。
すると自分達の来た道から、私服を纏った不良が数人。
おっと制服を着た奴もいる。ご大層な人数で奇襲してくれるらしい。
その真心には大感謝したくなるものだ。
しかも自分は見物客として見下げてくれている。
まったくもって腹立たしい。
文句の一つでも吐きつけてやろうか、そう思った刹那、向こうが動いた。
「左を頼む」蓮は比較的に数の多い右側を担当、臭いの籠もった路地裏を駆け出す。
何処から調達してきたのか、鉄パイプを振り下ろしてくる不良から、それを力づくで奪い取ると左から飛んでくる空き缶を紙一重に避けた。
同時に仲間内から悲鳴。
一瞥すれば、仲間であろう一人からスプレーのようなものを顔面に掛けられていた。
催涙スプレーとやらだろうか?
目をしきりに押さえている。
仲間は混乱しているようだが、蓮はいたって冷静だった。
覚悟していた手前、冷静にならざるを得なかった。
(やっぱり俺達について来たんだな。楠本側の人間)
だったら今頃、舎兄や副リーダーも同じ目に遭っているのではないだろうか。
「くそっ」
真っ向勝負ではないとは覚悟していたが、卑怯と無慈悲な現実に行き場のない感情が爆ぜそうになる。
この感情、何処にぶつければいいのだろうか!
襲い掛かってくる不良の鳩尾を鉄パイプの先端で突き、しゃがんで背後から横になぎ倒そうとする敵の鉄パイプを避け、蓮は勢いよく振り返る。
相手の懐に入り、その胸倉を掴んでそのまま背負い倒し。
視界を奪われた仲間の下に向かった。