青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


「んなッ! き、聞いたか千草ッ…、こいつ等、今、あんちゃんをブサイクなんて言いやがったぞ!」

「あ、あ、ありえねぇぇええ! 目が腐ってるんじゃねえか?! アンちゃんはすべてに置いて完璧な男だぞ!
喧嘩はできるし、容姿はバツグン。剣道の級所持者で、性格良し。学内でも頭は良いんだからな! お前等の兄貴、学年テストで十番以内に入ったことないだろ!」
 

「ッハ、それがなんですかー? ヨウさんなんてな、地元じゃ名の通ったイケメン不良なんだぜ? 喧嘩も容姿もパーフェクト。
更に機転がよく利いて、カリスマ性はピカイチ! チーム内の信頼も厚く義理堅い男。アンタ等の兄貴なんて目じゃねえぞ!」

「俺っちの兄貴は確かに喧嘩なんてできない。非力だって周りから言われている。だけどチャリに土地勘、そしてグッジョブな筆記。
人は見た目じゃない、心なんだ! そう諭してくれる男前なんだぞ! そんな男前をパシリ? お前等がケイさんのパシリだろ!」


バチバチ、青い火花を散らし合う弟分達に俺は溜息をついた。

小学生並みの喧嘩だな、こりゃ。
兄分ゾッコンは嬉しいけど、愛しすぎるのも難点だよ。

周囲の眼とか置かれている状況とか構わず、愛を主張してくれるんだから。


俺の頭痛が増す一方、舎弟二人はフンと鼻を鳴らして知っているんだぞ、と声をハモらせた。


「「お前等、ただの弟分じゃないか。舎弟じゃないくせに!」」

「渚。千草。もういい。そろそろ学食室の視線がうざったくなってきた。戻るぞ」
 

両舎弟の頭に手を置いて、矢島はヨウに鼻を鳴らすとさっさ立ち去る。

結局何しにきたんだ、ヨウが矢島を怒鳴ると足を止めてキャツは振り返りニヤリ。

「単なる嫌がらせだが?」

いつまでも学内でデカイ顔できると思うな、吐き捨てて、さっさと学食室から出て行ってしまう。

後を追いかける舎弟二人は出て行く際、立ち止まってこっちを向くと小生意気にあっかんべー。



最後の最後まで俺達に敵意を向けてきやがった。



はてさて、残された俺達はというと。


「ああぁあああの野郎っ! 俺のかけうどんっ、どーしてくれるんだっ! 七味まみれにしやがって! 金返せ!」

「む、ムカツクゥウウ! なんだよあいつ等、ヨウさんの悪口ばっか言いやがって!」


こうなっちまうよな…、誰がこいつ等の怒りを鎮火させると思ってるんだ。
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