青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「まず最初の質問ですけど、真美姉ちゃん…、あ、木崎さんのことです。
真美姉ちゃんは県外の大学に行っているので、一人暮らし。地元にはいません」
「なるほど。お次の質問は?」
「消去法で田山先輩の名が挙がったから、とでも言っておきます。だって他の人達、中学前でやめちゃってますものー! 根性ないんですものー!」
「本当は俺も中学前でやめちゃいたかったですよー。でもお母さん、怖いものでー!」
「どこでもお母さんは怖い存在ですよ、センパーイ!」
「ですよね。ワカリマース!」
って、アホか俺。
なんで向こうのペースに乗せられ…、あれ、堤さんってこんなにノリのいい子だっけ?
再会した時から思ったけど、なんか明るくてノリのいい子だよな。堤さん。
俺の疑念に、「私って女子の中じゃ」お調子者なんですよ、てへっと舌を出してくる。
「男子の前じゃ馬鹿なことできませんけどね。ドン引かれますし」
「なるほど。では俺は女と見られていると解釈しても?」
「あっはーっ、じゃあ私は男と見られているんですかね? 先輩にドン引かれていませんし?」
あははっ、あははっ、笑い合う俺達。
我に返った俺は額に手を当てて、ガックシ肩を落とす、また乗せられた。
自分がお調子者だと自覚はしているけど、似た系統(しかも女子)が俺を乗せてくるなんて。ある意味強敵だよな、この子。
「堤さん恐るべし」
「ひなのって呼んで下さいよ」
苗字呼びは嫌いなんですよ、堤さんが物申す。
「苗字呼びってフレンドリーになれる機会を阻むと思いません? だからひなので宜しくお願いします。圭太先輩。ほらもうフレンドリーですね!」
「……、つかぬ事をお聞きするけどチャクイって呼ばれたことは?」
「何度もありまーす! だけど私めげませんよ。
人類、皆お友達と思っていますし! 人類じゃなかったら不可かもしれませんが! ついでに気の合わない人間も不可ですが!」
うわぁあ、そういうお調子付いた言動はNGだぞ堤さん! 俺が乗っちまうから!
乗りたくてウズウズする調子魂をどうにか抑え込んでいると、「噂は知っていますよ」だけど、それがなんですか? 堤さんは目尻を下げた。