青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


動揺を通り越して憤りが胸を占めた。

「ざけるんじゃねえよ!」

近くにいた不良を蹴り飛ばすと、転がっていたバットを構えて目をぎらつかせる。

嗚呼、ダサい。

仲間の助けを待つ自分も、寄せ集めチームを立ち上げた自分の無責任さにも、庇われた事実にも。

ああそうだよ、自分が言ったさ。
手を貸せと言ったさ。
言いだしっぺは自分さ。


だったら僭越ながらも自分はリーダーと呼ぶべきポジションではないか。

なのに何をしているのだ自分は。


「そいつから離れろ!」


あんまオレの仲間に手を出していると痛い目遭うぜ!


川瀬に集っている不良達を散らすように、バットをブーメランのように投げると、近くにいいたキヨタに川瀬を守ってくれと頼む。

頭部と足をやられては思うように動けない。

サポートをしてくれと声音を張った。
 

すると川瀬がいらねぇと見栄を見せてくる。

お前等は自分のやるべきことをさっさと働け、それこそ働き蟻のように働いて時間を稼げ。それがお前等の仕事だろ。

皮肉たっぷりに言葉を返す川瀬に、キヨタは悪い意地は捨てろと苦言する。

そんな体で応戦できるとでも思っているのか?

だったら自意識過剰だ。


けれども怪我人はサポーターはもう到着していると鼻を鳴らし、上体を起こす。

キヨタが視線を流すと、綺麗に蹴りや拳を交わして走ってくるもうひとりの舎弟の姿。谷だ。


ココロを連れて逃げた筈の彼がどうして此処に。

キヨタの疑念を霧散するように、「一階も溜まっていた」だからわっざわざ隠してやったと、谷はキヨタやモトに感謝を求める。

仲間でもない女の身の安全を確保してやったのだから。


「ったく、勝手にあいつが手を組めとか言ったのが悪い」


なんで俺がこんな手間隙掛けてやらなければいけないのか。

愚痴る谷だが、寄せ集めチームに賛同した自分も悪いかと軽く自己嫌悪を垣間見せた。


キヨタは目を見開く。

谷も川瀬も、モトの頼みによってチームを意識しているのか。二人は嫌々ながらも味方付いてくれているのか。

それは自分達のためではなく、確かにチームを意識した行動。
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