青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「それに一々たむろ場に走る時間も短縮できる」
その意図は?
訝しげに相手を見やれば、「ケンの一件は解決しちゃねえ」つまりそういうことだ、と日賀野。
なるほど。
何かあったらメールしやがれ電話しやがれドチクショウってことですね。
仲間のために、自分の個人情報を俺に提供してくれるなんてお優しいこと。
ったく、こっちの許可なく俺の個人情報を取りやがって。横暴な不良だ。
「きっとこれからも俺は、健太のことで何か遭ったら個人的に首を突っ込んでくるでしょうね。あんまりにも何かあるようなら、俺はあいつをこっちに引き摺り込みます」
その意図は?
意味深に笑ってくる不良に、「健太は俺の友達です」つまりそういうことです、と俺。
傷付くばかりであればこっちのチームに引き摺り込む。
それこそ日賀野を敵に回しても。
それが嫌ならあいつを守って欲しい。
少なくとも、あのストーカー野郎から。
「まあ」あいつにとって貴方のチームこそ居場所なんでしょうけどね、俺は苦笑を漏らして目を伏せる。
「引き摺り込むことが不可なら、せめて鬱憤を晴らすために俺は貴方にリベンジでも申し込みましょうかね。あの時のフルボッコのお返し…、してやりますよ」
「ッハ、言うだけはタダだ。プレインボーイ」
「ええ。負けるって分かっています。それでも俺は友達のために一発でも殴りますよ。三十倍になって返ってくると分かっていても。
―――…ひとつお尋ねします。健太、貴方のチームに、いえ貴方にとって必要な存在ですか?」
いつも怖じを抱いている不良を真っ直ぐ捉えて、真顔で尋ねる。
愚問だと笑われてしまった。
充分な答えだ。
「なら良かった」
俺は目尻を下げる。
健太はついて行く人を間違っていないようだ、それが純粋に嬉しかった。
「プレインボーイ。今回のことは貸し一つにしておいてやる」
ふと日賀野から言われた言葉に俺は瞠目した。
「なんでですか?」
俺、貴方に貸しなんて作っていませんよ。
健太には貸しを作ったけど、そう付け加えて疑問を述べる。
日賀野は鈍い奴だと苦笑を零した。
初めて見る苦笑に呆気取られつつ、とにかく貸しひとつにしておくと一方的に言われ、日賀野は横断歩道を渡り始めた。
俺と此処で別れると分かっているのか、歩道前で立ち止まる俺に気にする素振りも見せない。