青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「ヨウ。シズ。夕飯だってよ。先に行っていいから。俺、着替えてから行くよ」
「なんか疲れてるぜ? ケイ」
「だってさヨウ。今日、すんげぇ濃厚な一日だったんだもん」
「へえ? どんな一日」
「どんなってそりゃあ、濃い一日だったよ。だって日賀野…、あ゛」
や、や、やっべぇ!
ヨウのことすっかり忘れていたよ!
日賀野がめちゃくちゃに悪態ついたせいで、憤っているヨウのこと、すっかり忘れて…、俺はぎこちなく舎兄を見やる。
パタンと漫画を閉じてくるヨウは、
「どんな一日だって?」
ちゃーんと聞いてやるぞ、とイケメンスマイルを向けてくる。
でも目がちっとも笑っていない。
俺が帰宅するまでの間、どんぐらい怒っていたか目測できるイケメンスマイルである。まる。
シズはささっと漫画で顔を隠した。
早々と傍観者を決め込んだらしい。
「メールしても、電話しても、ちーっとも連絡がつかなかったんだが。ケイ、何していたって?」
「いやだから」
濃い一日だったのだと俺は後ずさりし、にへらへらと愛想スマイル。
「ちょっち、散歩していたらですね。日賀野に捕まってですね。お、おデートを強制されて」
「残念だなケイ。ハジメからの目撃証言があるんだ。
『ケイがものすごいスピードでゲーセンを飛びして行った』って。
まるで目的があるかのごとく、飛び出して行ったらしいが…、ハジメの目が節穴だったのか? なー?」
おのれハジメ! 余計な目撃しやがって!
「えへへっ」俺は千行の汗を流しながら、ちょっとお手洗いに行ってくると自室から逃げ出す。
が、ブレザーの襟首を掴まれて引き戻された。
「ケーイ」
幾らなんでも一度くれぇはメールもしくは電話を見れたんじゃんねえの?
連絡入れられたんじゃねえの?
舎兄は俺の首に腕を絡めてくる。
俺は上ずり声で、「ど、どうでしょう?」と惚けてみせた。
が、それなりの付き合いである俺達なので、嘘は通じないのである。