青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「だって先輩方のいる場所、男の人ばかりですし。本音で話せませんもん。女子会は大切だと思います。
でも不思議なことに女子会中は女子力が落ちるんですよね。
女子同士だと気兼ねないせいでしょうか。女子会の魔力だと思います」
女版ケイを見ている気分である。
とてもノリのいいひなのに、「そうだね」と弥生は微苦笑。
「あんたノリいいな」
響子が率直に物申すと、「それが長所なんですよ」ひなのは笑声を漏らした。
でも引かれることも多々なのだと軽く両手を挙げてオーバーリアクションをする。
「あ、そうだ。圭太先輩は今、例の倉庫裏にいます?
出展品を書いてもらったはいいんですけど、弟くんに手渡してもらったのでまだ直接お礼言えてないんですよね」
ちゃんとお礼を言わなきゃ、人として大事なモラルだとひなのは口ずさむ。
「あ、でも」
今日は無理そうだとひなのは肩を落とし、左頬を掻いた。
此処で友達と待ち合わせをしているらしい。
ということは彼女もお茶会をするのだろう。
残念だな、先輩に会いたかったのに、ひなのは小さく溜息をつく。
ピシャーン!
衝撃がココロの背筋に走った。会いたかったの意図、その意図は!
「ひなのちゃん、ケイと仲いいよね」
満面の笑顔を作りつつ、弥生はすかさず探りを入れる。
「いえいえ」
仲がいいというか一方的に、此方が絡んでいるだけだとひなの。
書道出展話がなかったら絡むこともなかっただろうなぁ、とぼやいた。
「圭太先輩、すっごく勿体無いことをしているんですよね。どうして習字、やめちゃったんだろう」
「ケイさん、そんなにお上手だったんですか?」
ココロの問い掛けに、「上手というか」あれでも努力していた方なんですよ、ひなのは残念そうに眉を下げる。
本人は嫌々だったらしいが、習字教室では閉まる時間まで筆を動かしていたとひなのは語る。