青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「波子先輩が圭太先輩を嫌うのは、そういう努力を努力と意識もせず飄々とした態度で級を取っていったからだと思うんです。
単にライバルと認めて欲しいだけだと思うんですけどね…、波子先輩は負けん気強いから、どーしても言い方がきつくなってしまって」
「は、ははっ。あのケイをブチギレさせる毒舌だもんね。私達、あんまりケイがあそこまでキレる姿、見たことなかったよ」
「悪気はいっぱいあると思うんですが、波子先輩も悪い人じゃないんです。
圭太先輩に辛く当たっているだけで、あと調子ノリ男には手厳しいだけで、基本的には優しいんですよ。
私も調子ノリですけど、優しくして下さいますし。女の子だからでしょうけど」
先輩のフォローをしっかりするひなのは、「初対面のあの時はごめんなさい」先方の騒動を謝罪してきた。
気にしていないと三人が口を揃えると、ホッとしたように胸を撫で下ろし、ひなのはまたそちらに遊びに行くと言った。
折角だし、また自分とお話して欲しいと願い申し出てくる。
勿論いいと三人は快諾した。
破顔するひなのは、「それじゃあまた」会釈してスカートを翻す。
その際、振り返ってココロに一笑。
「若松先輩とは特に気が合いそうです。
異性のタイプとか、とびっきり気が合いそうです。
今度ゆっくりお話しましょう」
唖然とするココロは席に戻っていく後輩の背を見送り、しばし沈黙。
そして今のは軽い挑発なのだと気付き、
「ど、どうしましょう…!」
うかうかしていられないと焦りを募らせ、女友達に救いの眼を向けたのだった。