青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


◇ ◇ ◇

 
ニンゲン、生きていたらひとりやふたり、気の合わない人間ってヤツが出てくると思う。


例えば日賀野大和。

あいつは俺のトラウマであり、俺を苛めるジャイアンだから気が合わない。

というか気が合う合わない以前に、弄るという行為をやめてくれない限り、俺はあいつとお友達にさえなれないと思う。


次に馬場波子。
別名毒舌の波子。

なんで気が合わないかは省略させてもらう。

とにかくあいつとは気が合わない!


で、最後に。
 


「若松の彼氏じゃないか。確かなんちゃって不良くん。奇遇だなぁ、こんなところで会うなんて」



五反田輝。

超爽やかオーラを発してくるサッカー部のエースであり、ココロの同級生でもあるこの男。

女子にモッテーなイケメン顔だが、本性は腹黒くんだと睨んでいる。

俺はこいつとすこぶる気が合わない。

そう、合わないんだよ!


あああっ、なんでこいつと会ってしまったし!


話は戻り、何の嫌がらせか分からないが俺は五反田輝と遭遇している真っ最中である。

前兆はなかった。
たむろ場で野郎共と駄弁り、途中喉が渇いたからジュースでも買いに行こうと安くつくスーパーまで赴いた。ヨウやハジメと一緒に赴いた。

それだけのことだった筈なのに、なにがどうしたら飲み物売り場で五反田と鉢合わせしちまうんだ?

悪戯の女神様でも俺に憑いているのだろうか?


「いやどうも」

表向き挨拶する俺に、五反田もどうもどうもと挨拶。お互いに笑みを浮かべるけど、目はちゃんと笑えていない気がする。

五反田は俺の背後にいるヨウやハジメを見て、声音を上げた。


「うわぁ、本当に不良とつるんでいるんだ。でもお前、パシリっぽくみえるな」


皮肉をどうも。

生憎言われて慣れていますので、貴方様の皮肉なんぞ痒いにも値しないのであります!


「よく言われるんですよ。でもお友達ですから、彼等。人は見かけで判断しちゃいけませんよね」


お前なんてイケメンの腹黒だろ!
イケメンなら俺の兄貴の方がカッケーぞ!
仲間思いな性格も惚れちまうぜ!

心中で毒づきながら、俺はへらっと笑い、五反田もにこっと笑う。やっぱり目は笑っていない。


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