青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「あの優しい若松が不良達とつるんでいるなんて、やっぱり信じられないや。なんちゃって不良くんが彼氏か。サッカーとか興味ないかなぁ、若松」
「彼女が好きで不良達とつるんでいることだけは確かですよ。サッカーは興味皆無なんじゃないでしょうかね? スポーツに疎いですし」
「ははっ、じゃあ俺が教えてあげようかな。応援に来てくれたらめっちゃ嬉しいし」
「うっわぁあ、俺も何故だか急にサッカーに興味を持ちたくなったなぁ。
彼女が応援しに行くなら、俺も全力で応援してあげますよ。
五反田さんって女子にモッテモテだそうですね。
ココロが言ってましたよ。いやぁ、イケメンは羨ましい限りです」
「田山だっけ? お前って面白いなぁ。いろーんな意味で友好を深めたくなったよ」
「そうですか。俺もいろーんな意味で友好を深めたくなりましたよ」
視線という名の青い火花を散らし、
「せいぜい若松に逃げられないようにな」
笑顔のまま腹黒さを垣間見せる五反田。
「貴方もせいぜい」
その性格を女子に曝け出して引かれないように、反論して笑顔を深める。
五反田は肩を竦め、サイダーを片手にひらひらっと手を振って立ち去った。
バイバーイ。
手を振り返す俺は、キャツの姿がいなくなったことを確認し、
「あんの腹黒め」
持っていたペットボトルを握り締めた。
「サッカー部のエースの爽やか青年? 女子にモテモテ? イケメン? 爆発しちまえー!
俺の兄貴の方がな、二百倍イケメンなんだぜ!
ルックスと性格をイケメンにしてこそ真正のイケメン! 一昨日きやがれ腹黒!」
「ケイ、暴走しているね」
「うっし、兄貴の出番だな。ケイ、そこら辺にしてこっちに戻って来い。ハウス。はーうす」