青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
俺は犬じゃないっつーの。
舎兄にツッコミを返しながら俺は仲間の下に戻る。
ヤーな奴に会っちまった、ふてぶてしく愚痴る俺に二人が笑声を漏らす。
面白い光景だったらしい。
そりゃ傍観しているだけは面白いかもしれないけど、当事者としては表向きスマイル。
水面下で火花を散らし合う…、だからゼンッゼン面白くないっつーの。
いやぁ、スマイルがいかに大切か学んだ気がするな。
嫌な客にも笑顔を貫く営業マンの方々には尊敬の念を抱くんだぜ!
俺も営業スマイルスキルを高めないと!
「あいつ。ココロのことが好きなのか? なんか、あからさまお前等の仲にちょっかい出しますオーラを出してたけどさ」
ヨウの質問に俺は知らんと鼻を鳴らす。
あいつとは二度目ましてなんだけど、初対面から腹黒さを見せ付けてくれたんだ。
よって俺の中のブラックリストに殿堂入りを果たしたわけだ。俺が初対面をブラックリストに載せるってのもなっかなかないぞ。
日賀野でさえブラックリストには載せていないのに!
……あいつを載せると祟られそうだから、載せていないだけなんだけどな。
フルボッコ直後ほど怖くもないのは事実だし、好感を持てる部分もあるからいいんだけど。
五反田輝は殿堂入りだ!
ココロに関係しているからかもしれない。
まさか恋敵じゃなかろうな。
あいつとココロ、同じクラスだからめっちゃ気になるんだけど。
はぁあ、他校生の悲しいサガだよな。こういう不安は。
「弥生とハジメが羨ましいな。同校生だと時間も作りやすいしさ。あー…、まあ、今は喧嘩中みたいだけど」
不機嫌になるハジメに俺とヨウは溜息をつく。
まーた弥生とハジメ、喧嘩したらしい。原因を聞けば憶えていないだとか。
憶えている限り、宿題の話になって、一緒に勉強する話に繋げ、どっちの家でするかを話している内に宿題よりデートをするべきだと弥生が主張。
二人になるなら家でも時間が作れるんじゃないかと意見したら、なんだか知らないうちに水掛け論になって喧嘩に発展したとか。
はい、もろ痴話喧嘩。
ごちそーさまです。
「デートデートって」
べつに外に出掛けなくても二人の時間なら家で取れるじゃないか、ハジメは女子の気持ちが分からんと肩を竦めた。