青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「家で沢山甘えさせてやりたい気持ちが分からないのかな。外じゃ恥ずかしくてできないじゃないか。まったく。ね?」
俺達に言うなって。それは本人に言えよ、本人に。
「分かりにくいんじゃねえか?」
やんわりヨウがハジメの態度を指摘してくる。
弥生はそのことを知れば、きっと家を選んだと思う。寧ろ女子は言葉にしてやった方が伝わりやすいぞ。
舎兄の指摘に、ハジメは若干耳を赤くしてそんな恥ずかしいことを言えるかと一蹴。
だよなぁ…、俺だって言えないよ。
そんな小っ恥ずかしいこと。
なるべくココロには言葉にして伝えようと努力はしているけど(不安になりやすい子だしな)、それでも言えることと言えない事がある。
ヨウの助言は俺でも言えないや。
「はぁあ」
女の気持ちが分からない、ハジメの嘆きに恋愛経験のある俺とヨウはうんうんっと頷いて同調。
菓子売り場に赴きながら、分からない点を挙げた。
「帆奈美とセフレしていた時だ。
あいつからメールが来て、超眠かったからメールの返信を手短に済ませたら、『どうして怒ってるの?』って返ってきてさ。
怒ってねぇのに、それについて電話する羽目になって。
なーんで絵文字や顔文字つけてなかっただけで、そう言われなきゃなんねぇのか。俺には分からなかったな」
「弥生の奴。
自分は支度でよく五分、十分、遅れるくせに…、僕が寝坊で五分、十分、遅れるとすっごく怒るんだよ。理不尽じゃないか。なんで僕は怒られるんだよ。
それを指摘すれば、『寝坊と支度じゃ気持ちに差があるでしょ!』だって。どんな差だよ、もう」
「ココロ。基本いい子なんだけど、視線で訴えることが多くて。
どうしても分からない時は聞くようにしているんだけど、言いたくない時は伝わらなかったからって落ち込む。悲しむ。そして避けられる。
……エスパーじゃないんだ。分からないものは分からないんだよ。分からなかった俺が苛めた気分になる」
溜息をつく俺達は各々菓子を取って、「何よりさ」ハジメ、「女の子がさ」俺、「分かってくれねぇのは」ヨウ、「喧嘩だよなぁ」揃って不満を口にした。