青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
不良チームに所属している以上、喧嘩はどうしても避けられない。
特にヨウやワタルさんは地元で有名だから、自然と喧嘩が寄ってくる。
二人が喧嘩スキーだってのもあるけど、それを抜かしたって俺達は喧嘩の功績から名を挙げてしまった一端のチーム。
喧嘩を売られることも多々だ。
俺個人は喧嘩なんて好きじゃないし、できることなら関わりたくないけど、喧嘩によってつるんでいる友達が危機に陥るなら参戦するのも仕方ないことだと思っている。
なるべく自分にできることをやろうと思っているんだ。
でも女子達はどーも分かってくれない。
ココロは俺が喧嘩する度に無茶して怪我したことにお小言を漏らして、「喧嘩に積極的過ぎです」って言われて。
違うんだよ、積極的になっているんじゃなくって自分のできることをしたいんだ。
それを何度も言っているのに、
「喧嘩を重ねたって」
ゲームのように簡単には手腕は上がりませんよ? とか言われることも。
ううっ、なんで分かってくれないかな。
日賀野チームに乗り込んだことを知った時なんて、ココロ、すーっごくねちっこくお小言をぶつけてくれたもんな。
ケイさんは無鉄砲過ぎます。
何かあったらどうするんですか。
ちょっとは冷静に物事を見ないとめっ、です。めっ! ケイさんはおばかです!
……だって。
おばかなことをした自覚はあるけど、そっこまで言わなくてもなぁ。
「喧嘩のことでは帆奈美もよくお小言を言ってくれたもんだ。あーあ、喧嘩の美学、女には分からないよな」
「僕なんて、『ハジメなんて喧嘩と結婚しちゃいなさいよ!』とか言われたんだけど。僕は喧嘩なんてものできないんだって」
「でもプライドはあるんだよな。女子には分からないんだろうな、このプライド」
男女観を見せ付けられた気分だ。恋愛にしろ、友達にしろ、異性って難しい。
肩を竦めながら、俺は二人と会計を済ませるためにレジ場に向かう。
するとその途中、冷凍食品売り場で偶然にもタコ沢に会った。
こんなところで顔を合わせるなんて珍しい。
タコ沢の奴、喧嘩以外はぜーんぜんたむろ場に顔を出さないんだもん。
俺達と鉢合わせしたタコ沢は、「ウゲッ!」それはそれは不味い顔を作って後ずさってくる。
なんだよ、俺達と顔を合わせちゃ駄目なのか?