青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


訝しげにタコ沢を見やっていると、「どうしたの?」背後からひょこっと女の子が顔を出した。

その女の子は銀縁眼鏡を掛けた女子高生で、見るからに頭の良さそうな秀才オーラを醸し出している。

それでいてめっちゃ癒しオーラを醸し出していたりいなかったり。


ぶっちゃけかなり可愛い。

まんま箱入り娘ってかんじの子が俺達とタコ沢を交互に見やって、ああお友達さんね、と綻ぶ。


「ちっげぇぞ!」


女子に対して怒鳴るタコ沢を余所に、俺達は唖然。

なにその子、お前の…、ま、まさか! お前の?!


「た、タコ沢に彼女なんてものがいたのか! マジか…、なんで紹介しないんだよ。水臭いぜ」
 
  
驚きを口にした後、某赤メッシュ不良は面白ネタにニッタァと口角をつり持ち上げる。


「それもちっげぇ!」


タコ沢はひときわ大きく怒号を上げた。

なんだよ、隠さなくたっていいじゃないか。シャイな奴。


悪意ある笑みを浮かべる俺達に青筋を立てるタコ沢は、よりにもよってお前等に遭遇するなんて…、と体を微動させた。

微笑ましそうに見つめる女の子は、

「元ちゃんのお友達さんって」

皆、カッコイイんだね、と感想を述べる。

次いで、ヨウの言葉を彼女は否定した。
 

「元ちゃんとわたしは幼馴染なの。残念なことに恋人じゃないの。恋人になれたら面白いでしょうけど、ね?」

「頼むから、こいつ等の前ではそのあだ名を口にするんじゃねえ。
はぁあ…、今日は厄日だ。美雪に会った時からヤーな予感がしていたんだよなゴラァ」


彼女の名前は千原 美雪(ちはら みゆき)さんと言うらしい。

額に手を当てるタコ沢は、「少し待ってろ」その場から逃げるように野菜売り場に足を向けてしまう。


おいおいおい、美雪さんを置いて行っていいのかよ。


彼女に根掘り葉掘り聞いちまうぞ。

笑う俺達に美雪さんも一笑を零し、「元ちゃんは面倒見がいいの」と目尻を和らげた。
 
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