青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
一笑するヨウに俺は苦笑いを返す。
ほんっとお前って俺の気持ちを酌んでくれる相棒だよな。
俺の気持ち、ちゃんと理解してくれているなんて…、嗚呼、一本取られた気分。
不機嫌になった自分を恥らいつつも俺はヨウに礼を言った。
こんなにも俺の気持ちを酌んでくれているんだ。
ここは変にムキにならずお礼を言っておくのがいいと思う。
それにカッコ悪いじゃないか。
ムキになって機嫌を損ねるってのも。
ニッと口角をつり上げるヨウはあんま無茶はしないように、と心配してきてくれた。
大丈夫。
もしおぇええグロッキーっす。もう無理っすって具合が悪くなったり、ぎゃあぁああもうヤダ思い出したくないウワァア! になったら、ヨウを頼るから。
自分でもそうなりそうだって分かっているからな。
自分の弱さに嫌悪はするけど、どうしょうもないからヨウに頼るさ。
そう答えると、そりゃ安心だとばかりにヨウが手洗い場に向かう。
俺も用を足し、閉まっている個室を過ぎって手洗い場へ。
バチャバチャと手を洗いながら、「でもさ」ちょっち気鬱を抱き、俺は溜息をついた。
「五丁目って徒歩で二十分掛かるじゃんか? あそこの地域は広いし……、チャリがあればなぁ」
「しゃーないって。どうしてもってなら、俺、一応万札はあるから、調達できねぇこともねぇぞ。一万内で買えるだろ? ケイはやっぱチャリだし」
「嬉しいけど、今日は遠慮しとくよ。お前に借金してもすぐに返せるかどうか分からないしな」
蛇口を閉めて、ぺっぺっと水気を飛ばす。
同じくぺっぺっと手洗い場に向かって水気を飛ばすヨウは、
「踏み倒すわけじゃねぇだろ?」
俺は舎弟を絶大に信用してるし、とおどけてくる。
いやそりゃそうなんだけど、俺的にはすぐ返したいわけでして。
親から金を借りるのと、友達から金を借りるのじゃあワケが違うだろ?
金の切れ目は縁の切れ目、俺はあんま友達に金を借りたくはないんだよ。
緊急事態の時は仕方がなしに借りるけどさ。
俺の言葉に、「じゃあ」バイクに乗るか? ヨウが満面の笑顔を作ってきた。
「え゛?」腹の底から出したような、濁った母音を発した俺は物の見事に引き攣り顔を作る。
「ば、バイクって…、お前、持ってたっけ?」
「持ってねぇけど、いくつかアテがあんだよ。考えてみればケイはまだ負傷してるしな。ここは舎兄として、一肌脱ごうと思う。うっし、バイクで行くか!」