青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
じょ、じょ、ジョーダン!
お前のバイクの運転はトラウマもんだぞ!
俺はお前の運転で盛大に酔った記憶があるんだぞ!
ぎゃぁああ嫌だ乗りたくねぇええっ、だったらお前に金借りてチャリを調達した方がマシだぁあ! いやもう徒歩でいいよ、俺!
ブンブン首を横に振る俺に、「なんで?」たまには俺が足になるとヨウ。
大船に乗ったつもりでいろと胸を張ってくるけど、俺はその大船の上でリバースする。しちまう!
サーッと青褪めていると、突然閉まっていた個室が勢いよく開かれた。
で、俺達が振り返る間もなく、「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃあああああん!」と首に腕を絡まれる。
こ、こ、このウザ口調は!
「ゲッ。わ、ワタル。いつの間に…、てか、どっから出てきてやがる! お前、さっき自分の教室に帰ってたよな!」
「細かいことは気にしなーいんぐ。大体ヨウちゃんばっかりずーるいんだよねんっぴ。僕ちゃーんも仲間に入れてよぉ。抜け駆けはずるーい!
しかも便所でなあに二人で青春してるの! クサーイ! 場所が便所なだけにクサーイ!」
「て、テメッ、盗み聞きしてやがったな!」
「あっはーん。ヨウちゃーんの猿芝居を見抜けない僕ちゃーんじゃないんだよん。さあさあ、五時限目始まりと言わず、今から行きまそんそん」
「わ。悪かったな猿芝居で」鼻を鳴らすヨウに大笑いするワタルさんは、早く行こう行こうと急かしてくる。
ははっ、ワタルさんには見抜かれていたんだ。ヨウの芝居。
そうだよな、ワタルさんはいつだって人の心を見抜く人だ。
飄々としておチャラけてばかり。
だけどいつだってこの人は馬鹿な振りをして皆の心を、その真意を悟ってしまう人。
この人を誤魔化すのは難しいだろう。
「ったく」
テメェが一緒じゃ目立つじゃねえか、ヨウの愚痴を右から左に流すワタルさんはいいからいいからと俺達の背中を押した。