青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
結局ワタルさんを交え、三人で学校を抜け出すことになったんだけど、昇降口に赴いた俺達は目を削ぐことになる。
だって昇降口で待っていたのはなんと後輩二人。
やっと来たとばかりに俺達に手を振って来るもんだから、俺は絶句、ヨウは額に手を当て、ワタルさんは大笑い。
本人様達にいたっては。
「あっれー、ワタルさんもいるじゃんか。なんだぁ、ヨウさんの芝居を見抜いていたのはオレ達だけじゃなかったのか」
「えぇええ。せーっかく自慢してやろうと思ったのに。んー、この調子じゃこの場にいない弥生さんやハジメさんも気付いていたり?
……、ま、いっか。ケーイさぁああん! 俺っちも行きますッス!」
だって俺っち、ケイさんの舎弟ですからぁあ!
ぴょんぴょんと跳ねた後、猛突進してくる子犬に俺は悲鳴を上げた。
ちょ、待てっ、待て待て待てっ!
お前はどーしていつもそうやって全力ッ、ウギャッ!
どーんっと俺の腹部にタックルしてくるキヨタが満面の笑みで見上げてくる。
どうにか踏みとどまった俺だけど、こ、こ、この子犬。
俺が重傷だってことを忘れてっ。
痛みに身悶える俺なんぞ知る由もなく、ニッと口角をつり上げるキヨタは目で訴えてくる。
まさか舎弟を置いて行きませんよね? ねー? と。
……なーんか笑顔で脅されている感満載なんだけど。
これで連れて行かなかったら機嫌を損ねることは間違いないだろう。
最近のキヨタは強気だもんな。
一時期はへこみまくっていたけど、これも舎弟パワーだろう。
うむ…、全力で舎弟になろうとしているキヨタがいる。
ならば俺も全力で舎兄になってやろうじゃあーりませんか!
ええい俺だってパワー見せますよ! 調子ノリファイツ!
「キーヨタ!」
お兄ちゃんについてらっしゃい!
俺は調子に乗って相手の体を持ち上げると、その場でぐるぐる。
男子高生の悪乗りをいかんなく発揮した。怪我も悪乗りでなんのそのである。
「おぉお!」
声を上げるキヨタは俺にしがみついて笑いを漏らした。
「うわっち!」
アブネェとヨウが非難してくるけど、俺とキヨタはギャーッと声を上げて大はしゃぎ。