必死こいて桜姫やってやんよ!
…つまり、あたしが大人しく捕まればケイ達に手は出さないってこと、だよな。
なら勿論答えは決まっている。
「…わかった」
「音寧々さん!!」
階段を降りればそれはダメだ、と蒼白な顔でケイが腕を掴む。
「…ケイ、あたしはケイ達が弱いとは思わない。
傷付いて欲しくないとも思ってない。
男は怪我してナンボだからな。
ただ、あたしがアイツんトコに行きたかったから行っただけ。
元々あたしが此処にいたら皆の足枷だったから、気にしてたんだ。
大丈夫、また遊びに来る。
…憂依達にごめんって言っといて」
「音寧々さ…」
「あと、ありがとうって」
あたしが微笑んでケイを抱き締めると、唇を噛み締め目を閉じて、1回首を縦に動かした。
辛い事させてゴメンな、ケイ。
皆も、ゴメン。
目の前にいるのに何も出来ないって、苦しいよな。
「オワカレの言葉は終わったか?」
「あぁ」
「じゃぁ行くか。
じゃーな、翔龍桜のミナサン」
金メッシュがそう言うとバイク達は雑音を響かせ走り、その後に黒髪に強く腕を引かれるあたしが続く。
チクショウ痛ェぞこの野郎。
しかも歩くの速いし。
バレない様にため息を1つ溢し、顔だけくるりと振り返る。
‘ ま た な ’
口パクでヤンキーズにそう言えば、ケイを始めスキンヘッド、その他数人が涙を流した。
男の涙は綺麗だ…なんてどこか客観的に思いながら、あたしは其処から姿を消した。