必死こいて桜姫やってやんよ!
この短い期間でアイツは俺達の奥、最深まで入り込んでいた。
俺達が辛いことは傷付くことじゃない。
翔龍桜の名をバカにされることでもない。
この際、名なんてどうだっていいんだ。
辛いのは、目の前にいるのに、手の届く所にいるのに、消えてしまうことだ。
人がいて仲間がいての俺等、翔龍桜だ。
“またね”なんて。
アホじゃねぇのか。
「灰、落ち着け」
高羅が灰を宥める。
こういう時の高羅はやけに大人に感じる。
「せやかて憂依が!」
…こういう時の灰はやけに子供だ。
「下、行く」
俺がそう一言言えば大和はやっとか、と。
スイは変わらず携帯をカシカシ。
灰は高羅にあやされながら。
階段を降りる。