俺はお前だけの王子さま~ヒロキと加奈子~
笑う加奈子を残して俺は風呂に直行した。


ヤバいヤバいヤバいヤバい!


寒さと疲れで落ちてたテンションが急上昇していく。


俺は熱い湯船に冷えた体を沈めながら何度も頬をつねってみた。


夢じゃない…

はぁ…

夢じゃない…


風呂から上がった俺はタオルを首にかけたままキッチンに向かった。


あんなに冷たかった体からは、今や湯気が出ている。


渇いた体を癒すように冷蔵庫のポカリに手を伸ばした。


さっきまで親父がいたリビングの電気は消え


静寂の中冷蔵庫を明け閉めする音がやけに大きく感じた。


暗闇の中、冷蔵庫の明かりでキッチンだけが照らされている。


「ふぅ…」


パタン、とポカリを冷蔵庫にしまうと本当に真っ暗になった。


俺は足音をおさえてキッチンを後にした。


寝室に戻る途中


俺は親父が寝る寝室の前で足を止めた。


親父が寝たのかどうか気になる。


いびきが聞こえるかどうか中の様子を伺いながら


でも結局よくわからなくて俺は扉から耳を離した。


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