ONLOOKER Ⅱ


「屋内アトラクションに入ったんでしょうか」
「うーん……はっ! まさか夏生、人目に付かないところにサトちゃんを連れ込んでいかがわしいことを……!?」


さすがにそれは、夏生先輩が可哀想すぎるでしょう。
なんて、そんなつっこみもきっと聞いてない恋宵は放っておいて、直姫は携帯電話を取り出す。

意外に反応待ちだったようで、背後では恋宵が「えっ。つっこまないにょ? 放置にゃの?」なんて言っていた。

だがそれも無視して、着信履歴から友人の電話番号を呼び出した。


『もしもし、直姫?』
「目標見失いました、キャンディーの屋台付近を捜索願います、どーぞ」
『それ台詞だけ聞いたらノリノリなのに、なんでそんなに棒読みなんだろうね……どーぞ』
「今どこにいる?」
『僕ら? えっと、また売店の近くに……あ、ポップコーン……美味しそう……』


電話の向こうで、聖の「えっ、お前さっきチュロス三種類食ってたじゃん」という声が聞こえる。
花より団子、ではないが、彼にとってはアトラクションよりお菓子の屋台らしい。
ちなみにポップコーンの味も三種類あるが、きっと全部買うだろう。

手短に用件を告げて、さっさと電話を切る。

恋宵はいつの間に買ったのか、チョコレートのソフトクリームを手にしていた。
彼女の肩越しに、売店ののぼりが見える。
それを指差して、「直ちゃんも食べる?」と聞かれたので、断っておいた。

甘いものを食べると苦いコーヒーがほしくなるが、こんなところで売っているコーヒーが美味しい保証は、ないように思えたからだ。

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