悪魔なキミと愛契約【番外編】
黙れ…って。
今この状況で黙っていられるかぁぁぁ!!!!
課長は何のためらいもなくフェンスを乗り越え、ビルのギリギリのところに立った。
今、強風が吹いたら確実にバランスを崩して落下する。
下を見ると、小さな車が忙しく行き交っていた。
ゴォォォと唸る風。
「課長っ!! 私、まだ死にたくありません!!
お願いだから、早く戻って――」
って……
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
私の訴えも虚しく、アスファルト目掛け急降下。
耳元で風がヒュンヒュン鳴る。
課長の首にしがみついて、固く目を閉じて。
ああ……
私、このまま死ぬんだ。
お父さん、お母さん。
今までありがとう。
貧乏だったけど、それなりに幸せだったよ。
私は、大好きな課長とあの世に逝きます。
落ちる時間はほんの一瞬だと思っていたけど、それはとても長く感じて。
両親に感謝の言葉を言える程、何故か自分に余裕があって。
って……
「……あれ?」