悪魔なキミと愛契約【番外編】


怒りに震えたからとか

ショックが大きかったからとかじゃない。


ただ、諦めたくなかった。


たったそれだけの感情で、私は課長のあとを追った。


振り返った課長は、心底ウザいといった表情。


「課長っ!!
ちょっとひど過ぎませんか?」


「ひどいだと?」


「どうして、人の好意を素直に受け止めないんですか?」


「何度も同じことを言わせるな。
迷惑だから。ただそれだけだ」


ただそれだけ……って。


確かに、課長はモテる。


肌も、髪も、瞳もキレイだし。


課長の外見に、欠点はない。


何も知らない人なら、私みたいに一目惚れするに違いない。


でも。

あなたのその性格は、異常です。


まるで悪魔だ。


顔が天使なのに、心が悪魔って。


「課長。
課長が何と言おうと、私は課長を諦めません。
私、本気なんです。
何度近づくなと言われても、課長の心が天使になるまで私、ずっと付き纏いますから」


誰もいない廊下に、私の声が響いた。


しばらく、お互い目を見合う。


長い沈黙が続き、課長の鋭い視線に息が詰まりそうだった。


「それは無理だな」


「……え?」


「俺は悪魔だ。
 天使にはなれない」




< 66 / 132 >

この作品をシェア

pagetop